第三級陸上特殊無線技士は、総務省で定める陸上特殊無線技士のなかの資格のひとつです。陸上の無線局の無線設備の技術的な操作を行うための資格であり、陸上特殊無線技士には、第一級陸上特殊無線技士、第二級陸上特殊無線技士、第三級陸上特殊無線技士、国内電信級陸上特殊無線技士があります。
第三級陸上特殊無線技士の操作範囲は、
「陸上の無線局の無線設備 (レーダー及び人工衛星局の中継により無線通信を行う無線局の多重無線設備を除く。) で次に掲げるものの外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作
1. 空中線電力50ワット以下の無線設備で25,010キロヘルツから960メガヘルツまでの周波数の電波を使用するもの
2. 空中線電力100ワット以下の無線設備で1,215メガヘルツ以上の周波数の電波を使用するもの」
と規定されています。
具体的には、陸上移動業務や携帯移動業務の無線局 (警察無線・消防無線・鉄道無線・タクシー無線などの基地局、陸上移動局、携帯基地局、携帯局など) を操作する際に必須となっている国家資格であり、本資格の取得者の需要は広範に及びます。
特に、近年のドローン等を利用した「無人移動体画像伝送システム (平成28年8月制度整備) 」及び空撮等の画像伝送 (アナログ方式) には、第三級陸上特殊無線技士の資格が必要となります。
電波は空間を伝わるという性質があるため、電波を利用して通信を行うとき誤った操作を行ってしまいますと、他の通信に混信・妨害を与えてしまうことになりかねません。
このことから無線設備を操作するためには、原則として電波に関する一定の知識・技能を身につけ、総務大臣の免許を受けて無線従事者になる必要があります。
無線資格を有する者が行うことができる無線設備の操作の範囲は、電波法施行令第3条において定められています。無線資格の種類は以下のとおりです。 (総務省ホームページより抜粋)
総合無線従事者 | ・第一~三級総合無線通信士 |
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海上無線従事者 | ・第一~四級海上無線通信士 ・第一~三級海上特殊無線技士 ・レーダー級海上特殊無線技士 |
航空無線従事者 | ・航空無線通信士 ・航空特殊無線技士 |
陸上無線従事者 | ・第一~二級陸上無線技術士 ・第一~三級陸上特殊無線技士 ・国内電信級陸上特殊無線技士 |
アマチュア無線従事者 | ・第一~四級アマチュア無線技士 |
第三級陸上特殊無線技士と混同されがちな資格には、以下のような種類があります。
第三級陸上特殊無線技士とそれぞれの資格の違いを解説します。
第一級陸上特殊無線技士は、陸上の無線局で使用される空中線電力500ワット以下の多重無線設備で、かつ30メガヘルツ以上の周波数の電波を使用するものの操作が可能です。
第三級陸上特殊無線技士の操作範囲よりも広く、高度な技術が習得できます。第一級陸上特殊無線技士は、通信事業や放送関係の業務に従事する人が取得することが多く、多重通信の操作が可能になります。ただし第三級陸上特殊無線技士と同様、アマチュア無線設備の操作はできません。
第二級陸上特殊無線技士は、陸上で使用する無線局の無線設備の外部の転換装置であり、電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作が可能です。
第三級陸上特殊無線技士と比べると操作範囲や操作可能な設備が広がり、VSAT小規模地球局やコミュニティ放送局、気象レーダー、警察の速度取締レーダー、公共事業の無線局などでの活躍が可能です。ただし、第一級・第三級陸上特殊無線技士と同様に、アマチュア無線設備の操作はできません。
第三級陸上特殊無線技士とアマチュア無線技士との大きな違いは、無線の使用目的です。第三級陸上特殊無線技士は業務用無線が運用できる一方で、アマチュア無線技士は個人の趣味の範囲に限定されます。金銭目的での運用は認められていないのが、アマチュア無線技士の特徴です。
アマチュア無線技士は第一級~第四級に分類されており、アマチュア無線局の以下の設備が操作できます。
資格名 | 空中線電力 | 周波数の範囲 |
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第一級アマチュア無線技士 | 制限なし | 制限なし |
第二級アマチュア無線技士 | 200W以下 | 制限なし |
第三級アマチュア無線技士 | 50W以下 | 18MHz以上または8MHz以下 |
第四級アマチュア無線技士 | 10W以下 | 21MHzから30MHzまでまたは8MHz以下 |
20W以下 | 30MHzを超えるもの |
上記のように、アマチュア無線は幅広い周波数帯域の電波が使用でき、第三級陸上特殊無線技士をはじめとした業務用無線の無線従事者よりも自由度が高い資格です。
アマチュア無線技士と陸上特殊無線技士とでは、互いに使用できる電波のすみ分けが整備されています。ただし使用目的が異なるため、アマチュア無線の有資格者だったとしても、第三級陸上特殊無線技士と比べて就職等で優遇されるわけではありません。
陸上特殊無線技士は、以下のような分野・職域で活躍しています。
第一級陸上特殊無線技士 | ・放送局(ラジオ・テレビ中継) ・携帯電話基地局 ・防災行政無線 ・コミュニティ放送局 ・受信障害対策中継放送局など |
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第二級陸上特殊無線技士 | ・コミュニティ放送局 ・受信障害対策中継放送局 ・警察無線 ・消防無線 ・防災行政無線 ・各種業務無線 ・タクシー無線など |
第三級陸上特殊無線技士 | ・各種業務無線 ・タクシー無線など |
国内電信級陸上特殊無線技士 | ・防衛省など |
陸上特殊無線技士は、社会のさまざまな分野で無線通信を支える重要な役割を担っています。ドローン技術や次世代通信技術の進展に伴い、無線通信システムはますます高度化・多様化しており、陸上特殊無線技士の活躍の場は今後さらに広がっていくことが期待されます。
第三級陸上特殊無線技士を取得するメリットは、おもに以下の2つです。
2016年8月の電波法改正により、ドローンによる5.7GHz帯の使用が可能になりました。一般向けのドローンは2.4GHz帯の周波数を利用する一方で、5.7GHz帯は産業用ドローンで利用されます。5.7GHz帯でドローンを飛行させるには、第三級陸上特殊無線技士が必要なため、資格を取得すると産業用ドローンが操作できるようになる点がメリットです。
5.7GHz帯のドローンは、無線LANや電子レンジなどからの干渉を受けにくく、安定した高速通信が可能です。よって映像・データの転送に適しており、高画質映像の長距離転送も可能です。
産業用ドローンは、インフラ点検や測量、農薬散布など幅広い分野で活用されており、今後さらなる需要の拡大が見込まれています。第三級陸上特殊無線技士の資格取得により、こうした産業用ドローンの操縦に携わることができ、ドローンを活用したビジネスの可能性が広がるでしょう。
第三級陸上特殊無線技士の資格を取得すると、通信関連の企業への就職に有利になります。携帯電話基地局やテレビ・ラジオ放送局、警察無線などの設備の操作を担えることが理由です。
また、ドローンを使った空撮や測量、点検などのサービスを提供する企業でも、第三級陸上特殊無線技士の資格が重視されています。先述したとおり、第三級陸上特殊無線技士は産業用ドローンの操縦に必要であり、資格があれば即戦力として活躍できるためです。加えて、観光業やイベント会場など空撮動画を活用した広報が有効な業界においても、有利になる可能性があります。
さらに近年では、5Gなどの次世代通信技術の普及に伴い、無線通信のスペシャリストに対する需要が高まっています。今後、6Gなどのさらに高度な通信技術が登場すれば、無線技術者の需要はますます増加すると予想されます。第三級陸上特殊無線技士の資格を取得しておけば、時代の変化に対応したキャリアを築けるでしょう。
ここからは、第三級陸上特殊無線技士の資格試験の難易度と受験方法を解説します。
総合通信基盤局電波部電波政策課のデータによると、令和4年度の第三級陸上特殊無線技士試験の合格率は、88.8%でした。試験の難易度自体は低く、中学生レベルの知識があれば十分合格できるといわれています。弊社のeラーニングコースを受講した方は、約99%が資格を取得しています。
難易度が低い理由の1つは、計算問題がほとんど出題されないことです。たまに計算問題が出題されることがあるものの、中学校で習うような公式に数値を当てはめる程度の難易度です。
また、第三級陸上特殊無線技士試験には合格者の定員がありません。したがって、勉強して試験範囲の知識を身につければ、合格できる試験だといえるでしょう。
弊社で第三級陸上特殊無線技士を受験するには、大きく2つの方法があります。
①第三級陸上特殊無線技士養成課程を受講する
②eラーニング講座で学習したあとにCBT試験を受ける
①の場合は、会場で1日講義を受けたあとに試験を受ける流れとなります。弊社でも常時開催していますので、資格取得を希望される方は「開催日程のページ」より、受講日を選択してください。
②の場合は、ご自身の都合に合わせて、お持ちのパソコン、スマートフォンなどからeラーニング講座を受講し、最寄りのCBT試験会場で試験を受けていただきます。eラーニングでの資格取得について詳細を確認したい方は弊社の第三級陸上特殊無線技士eラーニング講座のページをご覧ください。
講習会形式 | eラーニング |
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第三級陸上特殊無線技士養成課程は、総務省から認定を受けた機関が第三級陸上特殊無線技士の講習会と試験をセットで行っているものです。講習会を受講後、修了試験に合格すれば、年に3回ある国家試験を受験しなくても、最短1日で資格が取得できます。
無線工学2時間、法規4時間の養成課程の講座を受講します。受講終了後に修了試験を受けて合格することで、免許が交付されます。
第三級陸上特殊無線技士養成課程の講座内容は「無線工学」と「電波法規」の2科目です。
無線工学 | 電波の性質・通信方式・無線通信装置 (多重化装置を含む) ・多元接続方式・電源・空中線系・電波伝搬・点検及び保守 |
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電波法規 | 電波法の目的・無線局の免許・無線設備・無線従事者・運用・業務書類・監督・罰則等 |
※講習時間 (必須) ・・・ 工学2時間、法規4時間
上記講座の終了後、修了試験を行います。この試験に合格すると総務省に従事者免許の申請を行うことができます。 (申請手続きは弊社が代行いたします)
試験時間 | 1時間30分 |
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試験科目 | 無線工学 (10問) ・電波法規 (10問) |
合格 | 試験問題の6割以上正解 |
申込み依頼書をご請求ください。ご自身の都合に合わせて学習を進めたい方にはeラーニング講座もおすすめです。
難易度は同じですが、国家試験の合格率は毎年80%程度です。養成課程では、合格までとことん指導いたします。
初めて無線等の学習をする方でも、必要な無線工学及び電波法令の知識について、電波法に定める資格要件を持った講師が、養成課程の標準教科書として告示された教科書に沿って授業を進めます。必要な授業科目及び授業時間の授業を受けた後、授業内容に基づき出題される修了試験に合格すれば資格を取ることができます。
特に予習の必要はありません。養成課程の講座においてゼロから指導いたします。
外国人の方でも受講可能です。ただし、養成課程は、原則として日本語で実施していますので、日本語を理解できる方であれば問題ありません。
個人による養成課程への申込みは、募集定員が定められていますので、開講前の募集期間内であっても募集定員に達した時点で受付を締め切っています。申込をする前に申込状況等について弊社へお問い合わせください。募集定員に達していなければ、開講の前営業日まで受け付けています。
※eラーニング講座は、随時受付可能です。
お支払いは、金融機関の口座振込のみとなります。支払時期は、原則として、受講申込と並行して行っていただきますが、支払の期限としては、受講日の1営業日前とさせていただいています。
口座番号等については、申込書を参照してください。
※eラーニング講座は、クレジットカード払い・コンビニ払い・Apple Payなどのウォレットにも対応しております。
原則としてお返ししません。ただし、開講日の7営業日前までに取消しの申出があった場合は、書面による請求により、受講料金の70%に相当する額をお返しします。
※eラーニング講座は、ご入金後、URL / ID / パスワードなどのeラーニング受講情報をメールいたします。メールの送付後は、取り消しできませんのでご注意ください。
陸上特殊無線技士の資格を取得しておくと、ドローンを使った空撮などの動画配信で収益を得ることが可能になります。携帯電話メーカーの中継局などへの就職も、有利になるでしょう。国家試験なのでハードルが高く感じてしまう方もいるかもしれませんが、ブレーンネットの養成課程なら99%の方が合格しています。
eラーニングでは自分のペースで動画で学べますし、申込書類などのチェックも専任の講師がサポートします。興味を持ったら申し込んでみましょう。