コラムCOLUMN

試験について

第三級陸上特殊無線技士は難易度低め?過去問を知ろう!

2023.12.04
第三級陸上特殊無線技士は難易度低め?過去問を知ろう!

陸上特殊無線技士は、総務省が定める陸上における無線設備操作や設置に必要な国家資格です。この陸上特殊無線技士の資格は、政令電波法施行令第2条第3項第1号から第4号によって、「第一級 (一陸特) 」「第二級 (二陸特) 」「第三級 (三陸特) 」「国内電信級 (国内電信) 」の4種が存在します。なかでも、第三級陸上特殊無線技士 (三陸特) を取得することにより、タクシー無線などの基地局、陸上移動局、携帯局といった陸上移動系の無線局の操作が可能となります。なお、近年話題のドローン操縦にも、この第三級陸上特殊無線技士の資格が必要です。

そんな第三級陸上特殊無線技士の試験の難易度はどれくらいなのか気になっている方もいるでしょう。

ここからは、第三級陸上特殊無線技士の試験について詳しく見ていきます。

”第三級陸上特殊無線技士

第三級陸上特殊無線技士の難易度は?7~8割が合格って本当?

近年の第三級陸上特殊無線技士試験の受験者情報は、以下の通りとなっています。2021年以降は情報が非公開となったため2021年のデータが最新となりますが、合格率は軒並み85%を超えています。つまり第三級陸上特殊無線技士の難易度はかなり低いことがわかります。

実施年受験者数合格者数合格率
2021年2,124人1,871人85.9%
2020年1,410人1,410人85.9%
2019年1,286人1,145人89.0%
2018年1,314人1,179人89.7%

一般的に、第三級陸上特殊無線技士の試験は独学でも数週間で合格できる人がいるほどの難易度ですので、どんなに長くても1ヶ月勉強すれば合格は可能とされています。

第三級陸上特殊無線技士の試験内容とは?

第三級陸上特殊無線技士の試験はCBT方式による試験となっており、試験は年に3回 (2月・6月・10月) に行われますが、日程詳細については「公益財団法人日本無線協会」のWebサイトから確認できます。ちなみに受験資格に制限はなく、誰でも受験可能です。

問題形式は四肢択一形式で、試験時間は1時間となっています。「無線工学」と「法規」の2科目がありますが、同一試験で2科目とも合格点 (40点/60点中) に達している必要があります。出題数はそれぞれ12問の計24問で構成されています。

無線工学

第三級陸上特殊無線技士で出題される無線工学は、計算問題と知識問題からなります。計算問題はほとんど出題されない代わりに知識問題は多く出題されています。内容としては、無線の性質や無線に関わる機器の性質や使い方などについて出題されます。とはいえ、頻繁に出題される分野を暗記してしまえば問題ないでしょう。なお、第三級海上特殊無線技士の試験を受験する人で、陸上無線技術士の資格を保有している場合は、無線工学の科目免除が受けられます。

法規

法規に関しても、第三級陸上特殊無線技士で出題される内容はかなり限定的な内容となっています。特に電波法から出題されることがほとんどですので、こちらも試験対策は立てやすいです。

第三級陸上特殊無線技士は簡単

上記でお伝えしたように、第三級陸上特殊無線技士の試験は非常に簡単です。簡単だと言える理由として、以下のような理由が挙げられます。

過去問と同じまたは少し変更しただけの出題が多い

第三級陸上特殊無線技士の試験では過去の類似問題がよく出ます。しかも、選択肢の内容が多少違っているレベルなので、過去問対策をしっかりしておけば失点することはほとんどありません。

計算問題がほぼない

無線工学の分野で出題される計算問題ですが、実際のところほとんど出題されません。出ても中学校の理科で習う程度の計算問題で、公式を覚えておけばそれに当てはめて解けるレベルとみていいでしょう。

それなら第二級陸上特殊無線技士を受けた方がよいのでは?

第三級陸上特殊無線技士と第二級陸上特殊無線技士の試験自体の難易度はあまり変わりません。また、試験時間や試験の形態も一緒です。そのため、第三級陸上特殊無線技士を受けるよりもグレードが上の第二級陸上特殊無線技士を受けた方がよいのではないか?と思う人もいるかもしれません。

しかし、第三級陸上特殊無線技士と第二級陸上特殊無線技士では、操作できる無線局の無線設備の範囲が異なります。電波法施行令第3条によると、第三級陸上特殊無線技士と第二級陸上特殊無線技士の操作及び監督範囲は以下の通りです。

第三級陸上特殊無線技士陸上の無線局の無線設備 (レーダー及び人工衛星局の中継により無線通信を行う無線局の多重無線設備を除く) で次に掲げるものの外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作
一.空中線電力五十ワット以下の無線設備で二万五千十キロヘルツから九百六十メガヘルツまでの周波数の電波を使用するもの
二.空中線電力百ワット以下の無線設備で千二百十五メガヘルツ以上の周波数の電波を使用するもの
第二級陸上特殊無線技士一.次に掲げる無線設備の外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作
イ.受信障害対策中継放送局及びコミュニティ放送局の無線設備
ロ.陸上の無線局の空中線電力十ワット以下の無線設備 (多重無線設備を除く)
で千六百六・五キロヘルツから四千キロヘルツまでの周波数の電波を使用するもの
ハ.陸上の無線局のレーダーでロに掲げるもの以外のもの
ニ.陸上の無線局で人工衛星局の中継により無線通信を行うものの空中線電力五十ワット以下の多重無線設備
二.第三級陸上特殊無線技士の操作の範囲に属する操作
※参照URL:「電波法施行令

簡単にまとめると、第二級陸上特殊無線技士の資格があれば、警察のスピード違反取締りレーダーやVSAT小規模地球局、ハイウェイラジオ局、気象レーダーなどでの無線設備の操作業務を行うことができ、第三級陸上特殊無線技士の資格だと、タクシー無線や消防、警察など多重無線設備を除く無線基地局での操作業務が行うことができ、ドローン操縦を目的とするだけであれば、第三級陸上特殊無線技士を取得しておくだけで十分です。

まとめ

以上お伝えしてきたように、第三級陸上特殊無線技士の資格自体の難易度は決して高いものではありません。もし独学で学習する場合には1冊の参考書・問題集に絞って学習を進める方が効果的です。また、独学以外にeラーニングや講習会に参加するといった方法もありますが、第三級陸上特殊無線技士の試験レベルであれば独学でも十分合格は可能です。

また、類似問題や全く同じ問題に遭遇することが想定されるので、過去問をしっかり学習しておけば容易に合格することができるでしょう。なお、過去問は2~3年分 (6~9回分) こなしておけば万全です。

”第三級陸上特殊無線技士
このページのトップへ